2020年3月新聞調査(3)本支社による紙面の違い

2020年3月27日

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日本経済新聞

 日本経済新聞は原則的に全国共通紙面になっています。紙齢や第3種郵便物認可の日付も東京本社、大阪本社、名古屋支社の各紙面で変わりありません。広告は一部で差し替えが見られます。例えば20面の全面広告は大阪がJR西日本のダイヤ改正広告、名古屋が駿台予備校東海地区校舎在籍生の難解大学合格者紹介、東京は日経主催のフォーラム広告でした。

  編集面で変化があるのは地域経済面と社会面、番組面のみ。14日付社会面を見てみると写真のように、ニュース判断やレイアウトが3本支社で異なっているのが分かります。第2社会面は共通紙面になっていました。

14日付の日本経済新聞最終版社会面。上から東京、名古屋、大阪の各紙面

産経新聞

 産経新聞は名古屋に発行拠点がなく、大阪本社の紙面が販売されています。東京本社と大阪本社の紙面を見比べてみると、紙齢は共通していますが、第3種郵便物認可の日付は大阪が昭和8(1933)年、東京が昭和25(1950)年とずれがあります。前田久吉が大阪で「日本工業新聞」として創刊したものが源流で、関西の経済紙として出発し、1950年に東京でも発行を開始してこの時に一般紙への転換が図られました。

上が大阪、下が東京の紙面。版数表記はフォントも異なる

 産経は特に大阪での読者が多く、有力な地方紙のない大阪では事実上産経がその役割を担っているという見方もあります。14日付大阪朝刊1面では、この日開幕から50年を迎えた1970年大阪万博のシンボル「太陽の塔」の写真が紙面下部を大きく飾っています。東京紙面でも「大阪万博 開幕から50年」の見出しのみ1面に掲載しており、中面には見開きの特集面を展開しました。大阪では12日付に掲載されたようです。

上が大阪、下が東京

 紙面案内を見ると東京は新型コロナ関連を固めたのに対し、大阪は新型コロナ以外のニュースでまとめています。大阪は1面トップそばに新型コロナ関連記事への案内を載せていました。

 天気予報の地点は大阪紙面が、関西2府4県の府県庁所在地に加え舞鶴、豊岡、福井、岡山、広島、高松、東京、名古屋、福岡の計15地点。東京紙面は関東甲信越静の1都10県の都県庁所在地と札幌、仙台、大阪、福岡の計15地点です。

 ちなみに東京の産経は2002年に夕刊発行を取りやめており、大阪本社版のみが現在も夕刊を発行し続けています。

 次回は紙面のカラー化に関して各紙を見てみたいと思います。


2020年3月新聞調査」記事一覧

  1. 版違いとは何か~毎日の紙面差し替え 2020年3月22日公開
  2. 版ごとの情報更新状況 2020年3月24日公開
  3. 本支社による紙面の違い 2020年3月27日公開
  4. 日経のカラー印刷事情 2020年4月8日公開
  5. 地方紙の地域別差し替え 2020年5月31日公開

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