日本経済新聞で記者の署名にいつからか「○○エディター」という肩書を目にするようになりました。直訳すれば「編集者」ですが、「社会保障エディター」のように分野を頭に付けて表記され、専門的な記事にクレジットされていることが多いことから、おそらく他紙の「編集委員」や「専門記者」に相当する肩書ではないかと推測します。後述のように2020年4月から登場しているようで、冠の専門分野は多彩です。
(2021.5.8追記)
2020年8月13日付『躍る「影の銀行」、監視骨抜き 前FRB議長も苦言』で、筆者の金融政策・市場エディター大塚節雄氏のプロフィルに「2020年4月から新設の専門エディターの一員となり、『金融政策・市場』を担当」と記されていました。
どんな専門分野が名乗られているのか
日経電子版の記事検索で見つかった、2020年4月以降に登場する専門分野を頭に付けた「○○エディター」を列挙してみると次の通りになります(五十音順)。
- ESGエディター(2020.4.7〜)
- AI量子エディター(2020.4.11〜)
- 気候変動エディター(2020.4.4〜)
- 金融政策・市場エディター(2020.4.9〜)
- 雇用エディター(2020.4.19〜)
- 社会保障エディター(2020.4.3〜)
- 税財政エディター(2020.4.6〜)
- 先端医療エディター(2020.4.10〜)
- デジタル政策エディター(2020.4.4〜)
- フィンテック・エディター(2020.4.9〜)
- マネー・エディター(2020.4.1〜)
- 企業財務エディター(2021.4.1〜)
- サイエンスエディター(2021.4.3〜)
- 地域再生エディター(2021.4.6〜)
- サイバーセキュリティーエディター(2021.4.6〜)
- 金融工学エディター(2021.4.9〜)
- 外国人共生エディター(2021.4.9〜)
- 安全保障エディター(2021.4.10〜)
- 都市問題エディター(2021.4.18〜)
- 新興・中小企業エディター(2021.4.20〜)
- DXエディター(2021.4.1〜)
- M&Aエディター(2021.4.21〜)
- 女性活躍エディター(2021.4.24〜)
- スポーツビジネスエディター(2021.4.30〜)
- デジタルマーケティングエディター(2021.5.1〜)
エディターはいつから名乗られているのか
日経電子版の記事検索で調べたところ、日経本紙の記者の署名としては2015年4月17日の『庶民励ます柔和な笑み 清源寺の木喰仏(時の回廊)』に「シニア・エディター」が登場します。その後しばらく企業報道部シニア・エディターや電子編集部シニア・エディター、科学技術部シニア・エディターなど、所属部署を頭に付けた表記が見られます。2018年3月14日の『人事、日本経済新聞社』では同年4月1日付で「編集局にアジア・エディターを新設」し、アジアビジネス報道センター長が兼務する人事が伝えられています。また「チーフ・エディター」を兼務する編集局次長もみられます。
2019年3月5日の『人事、日本経済新聞社』では同年4月1日付で、東京本社編集局のシニア・エディターを廃止し、シニア・ライターを設けることが発表され、併せて同局へのニュース・エディター設置も明らかにしています。ニュース・エディターは編集局総務が兼務している例が多く見られます。
2020年4月1日の『新型コロナでお金に困ったら… 知って役立つ安全網』では現在のような、専門分野を冠にしたものとして初めて「マネー・エディター」が登場しました。ただし署名ではなく、記者略歴の形で「2020年1月からマネー編集センターのマネー・エディター」と書かれています。マネー編集センターは2020年1月1日付で東京本社編集局に新設された部署のようです(2019年12月18日『人事、日本経済新聞社』)。
その後は4月3日に社会保障エディター、4日にデジタル政策エディター、気候変動エディターと続々「○○エディター」が記者署名に登場するようになり、現在に至ります。