【編注】
▽2017年9月27日 所属する新聞部の紙面はタブロイド判です。ブランケット判では考え方が若干異なる可能性もあります。ご容赦ください。
新聞部で部員教育を担当しているので、紙面の作り方について解説を求められることが多く、その資料を作ろうとしている。本稿はその下敷きにするための備忘録である。
前回は以下のリンクへ。
前回「右上から左下へ」の視線の流れ、X型レイアウト、5力点のバリュー順位について書いた。中面だとこれに、見開き2面を1セットとして見たときのレイアウトも考慮する必要が出てくる。今回はその解説だ。
本題の前に特集面について
その前に触れておかねばならないのが、特集面についてだ。政治、経済、国際、社会など主に前日に起きたばかりの生ニュースを扱うことが多い面を便宜的に「ニュース面」と呼ぶことにする。一面もニュース面に含まれる。一方、ある話題を掘り下げて伝えることがメインとなる生活面、教育面、文化面などは、ニュース面とは違う組み方をする。これらの面を、これも便宜的に「特集面」と呼ぶことにしよう。
特集面はたくさんの生ニュースを詰め込むのではなく、一つの記事の分量を多くし、じっくり読んでもらうのが主眼。だから生ニュースのように段ケイ(段間の罫線)を引かないし、各記事は、凹凸に入り組ませるのではなく長方形に組んでいることが多い。記事と記事の間にはかなりの余白もとってある。
これから説明する見開きでの考え方は、両面ともニュース面という前提とする。片方が特集面だったり全面広告だったりする場合は、片面しかない場合と同様の組み方をすればいい。
左面の右上が最重要記事
見開きにした2面の中で、どこに最重要記事を配置すべきか。答えは左面の右上だ。右利きの人が紙面をめくると、視線は自然と右面より左面に行くことが多いからだ。
では2番手は? トップの近くにある記事が目に入りやすいから、候補は左面の左上と右面の左上になる。右面の記事にも目を通してほしいということを考えると2番手は右面の左上に置くのが順当だろう。
整理するとニュース面が二つ並ぶ見開きでは、左面の右上>右面の左上>左面の左上>右面の右上、の順に高バリューの記事を配置していくのが良いだろう。
すると困ったことが起きる。右面では、前回述べた5力点のバリュー順と齟齬が生じるのだ。つまり、右上と左上の優劣が逆になってしまう。「じゃあ左右対称にして左上から右下への流れを作ればいいのか」というとそうではない。なぜなら、そもそも右上から左下への流れは日本語の縦書きの文章のルールに沿ったものだったからだ。右上と左上のバリューが逆転したからと言って、この流れを変えることはできない。
「右上から左下へ」を3本
解決策の一つは「右上から左下へ」の流れを見開きで3本作るということだ。左面、右面それぞれで流れを作るだけでなく、右面左上を起点に、面をまたいで左面右下へも流れを作るということだ。
流れは標識によって作られるのであった。すなわち見出し、写真、図表である。この流れを見開きに3本つくるということになる。そしてやはり「押さえ」は見開きにも必要なので、左面左上、右面右下にも力点を置くのがよい。
もし小さな記事を多数入れ込むような場合も、基本的には「右上から左下へ」の平行線を増やして流せばよい。
重心はやや左/右端を押さえて
さて見開きでのバリュー順が左面の右上>右面の左上>左面の左上>右面の右上となることから、見開きの重心はやや左側に寄る。これが寄りすぎてしまうと紙面のバランスが悪くなる。そこで右面の右端には縦長の区画を設けて、横書きで短信記事を並べたり、連載記事を置いたりすることがある。
繰り返しになるが、紙面は読みやすさを確保するため「右上から左下」の視線の流れを作りつつ、死角の位置の記事も読んでもらうためにタタんだりカコんだり見出しや写真を置いたりする。見開きでは重心が左によるため、右端にも力点を置き押さえてあげる必要があるのだ。
タタミ線で縦割りを
少し話はずれるが、紙面のバランスについてもう一つ「縦割りの意識」について触れて今回の記事を締めくくりたい。
片面のレイアウトにおいて左上をタタむと、トップと準トップの間に縦の太線や強調線を引くことになる。このタタミ線によって紙面は左右に分割されるが、左1:右2くらいの比率になるとバランスが良くなる。逆にタタミ線が紙面中央に来ると、メリハリがつかず紙面がまとまりにくい。右側、つまりトップをタタんで、左2:右1にすることもあるがこれは上級編だ。
中面だと見開きが1:2:1の比率で縦に割れるとバランスが良い。このとき、片面だとタタミ線が下段まで貫くと、割りすぎてバランスが悪くなってしまうので貫かないようにするのが標準的だが、中面では見開きにすると紙面が横長になるし下方を広告が占めることも多いので、記事スペースは縦に貫いてしまうこともよくある。