南北首脳会談「平壌冷麺」のくだり、翻訳比較

2018年4月28日
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歓談する文在寅大統領と金正恩国務委員長=4月27日、板門店・平和の家(韓国政府サイトより)
歓談する文在寅大統領と金正恩国務委員長=2018年4月27日、板門店・平和の家(韓国政府サイトより)

 27日の南北首脳会談では冒頭部分がマスメディアに公開され生中継されました。その際、文在寅(ムン・ジェイン)韓国大統領と 金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長が和やかに話していましたが、金委員長が、後に予定されていた晩餐会のために北朝鮮側から平壌冷麺を持ち込んだことに触れ、ちょっとした冗談めいた話をして笑いを誘っていました。

 同日付夕刊の中には、この会談の冒頭部分の全文あるいは主な発言を掲載した社があり、その翻訳のニュアンスが微妙に違いました。

 最も堅い表現で書いたのが 毎日新聞。該当部分を抜粋すると次のようになります。

 夕食会でいろいろ話題になっている。平壌から平壌冷麺を持って来た。大統領には良い気分で、遠くから運んできた平壌冷麺、遠くからと言うと語弊がある。おいしく召し上がっていただきたい。

https://mainichi.jp/articles/20180427/k00/00e/030/275000c

 次に、ちょっとやわらかいのが 日本経済新聞 電子版掲載の 共同通信 配信記事。夕刊では箇条書きの発言骨子の掲載だったため、全文は電子版のみでの掲載でした。

 来る前に、夕食会の料理について、たくさん話をしていたが、何とかして平壌から平壌冷麺を持ってきた。大統領が気楽な気持ちで平壌冷麺を、遠くから来た(平壌冷麺を)、遠いと言ってはだめだな、おいしく召し上がってもらえればと。

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO29942670X20C18A4910M00/

 読売新聞 もほぼ同じように「だめだな」と表現しています。括弧書きで描写を補足しているので、和やかな雰囲気がより伝わると思います。

 (妹の与正氏をみて)ここに来る前、今日の晩餐(ばんさん)の食事について多くの話をしたが、苦労してやっと平壌から平壌冷麺を持って来た。
 持ってきたので(文在寅)大統領はくつろいで、はるばる持って来た平壌冷麺を……、(言い直して)はるばると言ってはだめだな。おいしく召し上がっていただけるとうれしい。

2018年4月27日付夕刊、大阪本社発行4版

 さて意外にも一番くだけた表現だったのが 朝日新聞 でした。

 今日の晩餐(ばんさん)会のメニューについていろいろ話があるようですが、平壌から苦労しながら平壌冷麺を持ってきました。大統領が気軽に、平壌冷麺を召し上がれるよう遠いところから……遠いと言ったらだめか(笑)。おいしく召し上がってもらえたらいいです。

https://digital.asahi.com/articles/DA3S13471534.html

 新聞で、しかも発言全文という極めて堅く無機質な記事で「(笑)」が登場するとは! まあ現場の状況を伝えるのに手段を限る必要はないので、これもアリということなのでしょうかね。

【編注】
▽2019.6.10 アイキャッチ画像を追加