内定先の会社に提出する健康診断書の交付申請で、休学中の大学へ行った。風が心地よくて普段眺めない眼下を望んだら、以前の春霞は取れてすっかり夏らしい景色になった。
思えば就活を目前にすることが受け入れられなかった昨春以降、六甲山麓の通学路は何度も目を腫らしながら下った。
青と緑と、その間にくっきりと広がる建物たちのコントラストを、こんなに穏やかな気分で再び見ることができるとは思わなかった。
昨日のTBSテレビ「サンデー・ジャポン」で太田光のコメントが話題になっている。ピカソの絵に感動したことを経て、何かを好きになる経験が、何かを好きになる自分への肯定につながったという若い頃の経験談だった。
それを思い出しながら、鮮やかな神戸の街に、色が戻る感覚ってこういうことなんだろうかと考えた。
(2019.6.3)