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「執行手続中」に頭が攣るような感覚が……

2018年7月7日

 オウム真理教事件の7人の死刑が6日執行された。1日に7人もの死刑囚の刑を執行するのは東京裁判のA級戦犯の執行以来70年ぶりで、日本が独立を回復してからは初めてになる。

 僕が一報を聞いたのは午前8時40分すぎ。前夜から趣味仲間とスカイプ通話をしながら大雨災害の状況を見守っていたところ「麻原の死刑執行手続き開始って日テレが言ってる」と彼が叫び、僕も慌ててテレビのチャンネルを替えて確認したのだった。

 とにかく「死刑執行手続き開始」という文言になじみがなく、頭が攣ったような感覚になったのを覚えている。普通死刑執行の報道は、執行が済んでからの話である。現在進行形で報じられたのは記憶がない。

 その後日テレは「他に今日中に5人以上の死刑が執行される見通し」、さらに「今日は松本死刑囚含め7人の執行予定」などと伝えた。「執行予定」ってなんだそりゃ。頭が余計にこんがらがった。

 そして徐々に執行された死刑囚の名前が出てくる。テレビ朝日は執行前に新実智光、土谷正実、遠藤誠一の3死刑囚の名前を「執行手続中」として報じた。松本死刑囚以外で執行の確認前に名前が出たのは僕が見た限りこれだけだと思う。

 不謹慎かもしれないが昭和天皇の崩御報道を思い出した。宮内庁が「ご危篤」を発表したのは既に昭和天皇が亡くなった後のことだった。今回の「執行手続中」も同類じゃないのだろうかと思ってしまうが、さすがにそこまでの真相は今のところ分からない。

 開票速報か組閣速報ともだぶって見えた。「執行手続中」はさながら「当選確実」とか「内定」みたいなもので、でもこれは人の命の話である。死刑確定の時点で予め決められた道だとはいえ「間もなく執行されます」と言わんばかりの様相は、やはり薄気味悪いものを感じてしまった。

 あらゆる報道はショー的な側面から逃れられない。潔癖さを失ってでも伝える公益性があるということは理解しているつもりだ。でも、事は人命である……。