2021衆院選新聞調査(5)産経新聞

 第49回衆院選の翌日付の朝刊版建てを記録する連載。第5回は産経新聞です。

議席数グラフィクス自体が違う

 産経新聞は大阪本社発行の13版B、14版、14版☆に加え、西部本部発行の九州・山口版11版の計4個版を入手しました。

 福岡にある西部本部は、組織上は大阪本社の傘下ですが紙面は東京本社版をベースに編集しています。そのため、九州・山口版に掲載されている問い合わせ先は「紙面・記事」が東京本社、「販売・配達」の電話番号は西部本部、URLは大阪本社、「購読のお申し込み」は西部本部と入り混じっています。

 さて東京本社紙面をベースにした九州・山口版と、大阪本社紙面とで違いが生じるのは当たり前ですが、議席数を示すグラフィクスと表のデザイン自体が異なるというのは他紙ではなかなかない現象です。

九州・山口版11版の1面より
大阪13版Bの1面より

大見出しから立民外す大阪社会面

 産経新聞の大阪紙面は、関西の地元ネタを他紙の大阪本社版にもまして優先する傾向が強いことで知られていて、有力な県紙が存在しない大阪では地方紙的な性格も持っています。

 こうしたこともあってか、大阪紙面では第1社会面に維新、第2社会面に自民に関する大見出しが躍り、立憲民主党は大見出しから外れました。残議席が同じ九州・山口版11版と大阪13版Bを比べると、自民幹部が表情を硬くしている理由が違うように見えてきます。

社会面大見出し。上が大阪13版B、下が九州・山口版11版

支持者の熱気は消えたか否か

 1面コラム産経抄は、開票に合わせて表現が修正されています。14版までは「自民党はなぜ大幅に議席を減らしたのか」だったのが、14版☆では「大幅に」が取れました。これに伴い、議席減の理由を14版までは「総裁選から1カ月しかたっていないのに、支持者の熱気が消えてしまったのだ」としていたのが、14版☆では「支持者の熱気がもうひとつだったのだ」とトーンダウンしています。

残り議席数

 産経新聞は出口調査や推計投票率を共同通信配信のデータで報じており、ウェブサイト「産経ニュース」でも当選確実についても共同通信配信のものを使っていたことから、紙面報道でも独自の当確ではなく共同通信の判定を使っていると思われます。

集計時刻合計小選挙区比例代表
九州・山口版11版23:55残104残60残44
大阪13版B23:55残104残60残44
大阪14版1:00残48残19残29
大阪14版☆2:05残21残4残17

各地で販売していた版

店名版数
博多LS福岡博多駅前二丁目店──
博多FM博多駅博多口店九州・山口版11版
小倉FM小倉駅新幹線口店──
小倉SEハートインJR小倉駅新幹線口東店九州・山口版11版
新下関SEおみやげ街道新下関店九州・山口版11版
新山口SEおみやげ街道新山口新幹線改札内店──
新山口LS新山口駅前店九州・山口版11版
徳山SEおみやげ街道徳山新幹線改札内店九州・山口版11版
広島SEキヨスク広島新幹線下りホーム西店大阪13版B
広島SEエキシティひろしま店大阪13版B
福山SEおみやげ街道福山新幹線店大阪13版B
岡山SEハートイン岡山駅新幹線改札内店大阪13版B
岡山FM岡山桃太郎大通り店大阪13版B
岡山SEキヨスク岡山駅新幹線下りホーム店大阪13版B
新神戸SEアントレマルシェ新神戸店大阪14版
地下鉄新神戸FMUライン新神戸駅売店大阪14版
地下鉄東梅田FMディアモール大阪店大阪14版☆
北新地LSホテルモントレ ル・フレール大阪店大阪14版☆
地下鉄北浜FM伏見町二丁目店大阪14版☆
地下鉄本町LS S OSL御堂筋本町駅店大阪14版☆

※九州・山口版は西部本部発行。大阪=大阪本社版、SE=セブン─イレブン、LS=ローソン、FM=ファミリーマート、──=売り切れまたは取り扱いなし。