
岸政彦の小説『図書室』がよかった。中年女性が小学生時代のガール・ミーツ・ボーイを回顧する話。
大人になってみれば、そんなものにこだわってどうするのかというくだらないことに、子どもなりに筋道立てて取り組んでいるうちに、いつのまにかそんなこだわりが一足とびに消えている──。そういう柔軟性は、子どもにもあるけれど、街にもないと子どもは、こんな取り越し苦労すらできない。舞台となる淀川沿いは、そういう街のように見える感じがあって、もしかしたら実際そうなのかもしれない、そうだったらいいな、とか思う。
(2019.7.16)