天王寺動物園の企画展『戦時中の動物園』(18日まで)を見てきた。動物たちは戦意高揚のキャラクターに使われる一方、食料やエネルギーが不足する中、家畜でもない動物園のえさは真っ先に「節約」され、戦局が悪化すると空襲時の脱走の懸念から殺処分されるものも多かった。企画展はそうした動物園がいかにして戦争に巻き込まれていったかをたどるものだ。
入り口にある写真は軍服を着させられたチンパンジー「リタ」の写真。人気者だったリタとロイドは、他にもガスマスクを着けたりされた。ロイドはその後、敵性語だとして「勝太」に改名するが、名前の公募を報じる新聞記事がいまでいう社会面囲みのような柔らかい調子で書かれているのがなんとも言えなかった。
中には殺処分された動物たちの剥製が展示されている。えさに毒を混ぜて食わせ、けいれんしながら死んでいったという。中には食べたがらないものもあり、そのうちヒョウは仕方なく担当飼育員が首に縄を掛けたが、手塩にかけて育ててきたヒョウを殺すのはしのびなく、結局別の飼育員が縄を引っ張った。
企画展の最後には、現在の世界各地で起きる紛争によって、動物たちが圧迫されているとの説明があったのも印象的だった。