モリサワ本社@生きた建築ミュージアムフェスティバル大阪

2019年10月27日
大阪メトロ大国町駅の近くにあるモリサワ本社

 大阪の近現代の建築を「生きた建築ミュージアム」と名付け、毎年秋に一斉公開する催し「生きた建築ミュージアムフェスティバル大阪」、略称「イケフェス大阪」が26、27の両日、大阪市内各地で行われました。この一環で、フォント・印刷機メーカー「モリサワ」の本社5階にあるショールーム「モリサワスクエア」が開放されましたので行ってきました。

モリサワスクエア

 文字や印刷に関する史料のコレクションや、モリサワなどの写植機、書体・フォントの発展の歴史をたどる展示を見ることができます。手動写植機や電算写植機は実物がありました。これまでは漠然と写植技術を理解していましたが、実物を見て腑に落ちた感じがします。

 展示場にいらっしゃった社員の方も新聞製作の現場を経験されたようで、かつてのお話などを尋ねることができました。特に手動写植時代には、打ち間違えると、時間がないときは別のところに打ってあった正しい文字を上から貼り付けてしのぐといった作業もあったようです。


 イケフェスでは他に大阪取引所(旧大阪証券取引所)、東畑建築事務所、日本基督教団浪花教会、三井住友銀行大阪営業部、大同生命大阪本社を訪ねました。

 アールデコ調建築の大証は、戦間期ゆえ「耐爆建築」として大量のコンクリートが用いられていて、大阪大空襲でも焼夷弾が落ちてきたものの耐えたということです。ステンドグラスまで無事だったのは奇跡と言われているそうです。

 高麗橋にある東畑建築事務所の清林文庫では、伊能忠敬による東日本地図「東三拾三國沿海測量之圖」が特別に展示されていました。越後や加賀などでは測量を毛嫌いされたようで、沿岸にびっしりと書かれている浦や郡の名前が空白になっているところがありました。天文測量を行った地点を「☆」で記しているのですが、その箇所が多く、誤差をできるだけなくそうとした執念を感じました。