1966年の静岡一家4人殺害事件で死刑が確定した袴田巌さんの再審を認めるかどうかを巡る裁判は、12月23日、再審を認めないとした東京高裁の決定を最高裁が取り消し、審理を同高裁に差し戻しました。司法判断が二転三転する中、報道機関による袴田さんの呼称もたびたび変化してきました。今回の差し戻し決定の前後で変化はあったのでしょうか。
朝日新聞、共同通信、時事通信は「さん」付けの呼称を変えませんでした。毎日新聞も本文初出時に「元被告」、2度目以降を「さん」とする書き方を維持しています。読売新聞も「元被告」の呼称を変更しませんでした。
産経新聞は文中、差し戻しの判断の前後で「元被告」から「さん」に呼称を変えており、おことわりで今後は「さん」に変更すると説明しています。
昭和41年に静岡県で一家4人が殺害された強盗殺人事件で、死刑が確定し再審請求していた元プロボクサー、袴田巌元被告(84)について、最高裁第3小法廷(林道晴裁判長)は、再審開始を認めないとした東京高裁決定を取り消し、審理を高裁に差し戻した。
静岡地裁は再審開始とともに刑と拘置の執行停止を認めたため、袴田さんは釈放されている。引き続き収監されない見通し。
(中略)
おことわり 再審開始を認めないとした東京高裁決定が取り消されましたので、袴田巌元被告としてきた呼称を「袴田巌さん」とします。
産経ニュース「袴田事件「再審認めず」取り消し 最高裁決定、高裁に審理差し戻し」(2020年12月23日)
日本経済新聞は、東京高裁が2018年6月に再審を認めない決定をした当時の報道では、「元被告」と「さん」が混在し、記事の性質によって使い分けているフシがあったのですが、2018年10月以降はすべて「さん」で統一されていました。今回の差し戻し判断後も「さん」を維持しています。
過去の呼称変遷については、下記記事をご覧ください。