今週のフロント
鈴木智彦著『ヤクザときどきピアノ』

暴力団をめぐる潜入ルポで知られるライターは、『サカナとヤクザ』の校正を終え、映画『マンマ・ミア! ヒア・ウィー・ゴー』を見ます。流れてきたのはABBAの『ダンシング・クイーン』。ライターズ・ハイの状態で聴いたヒット曲に心をつかまれてしまった著者が、ダンシング・クイーンをピアノで弾きたいと一念発起、ピアノ教室に通う日々を綴った本です。
ピアノの教習は講師(大半は女性)と生徒が一対一で行うため、50代中年男性というだけで受講を次々に断られます。そんな中、通えることになったピアノ教室で指導に就いてくれたのがレイコ先生でした。生徒の特性を見抜き、それによってレッスンのスタイルを変えるというレイコ先生の名指導の下、練習を積み重ねていきます。奮闘記の執筆も決まり、目標として設定されたのが1年後の演奏会。果たしてダンシング・クイーンが弾けるようになるのでしょうか。
ヤクザ取材のエピソードと、ピアノレッスンや音楽をめぐる思い出がオーバーラップしながら進められる記述は、テンポ感豊かで著者にしか書けないものになっています。聞き手から弾き手になることで新たに発見する音楽への感動、そしてピアノ講師の仕事の素晴らしさが鮮やかに描かれ、感涙を禁じ得ません。購入特典として演奏会映像へのリンクも掲載されています。
(2020年、CCCメディアハウス)
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見た
テレビ番組
- NHK『100分de名著』コッローディ「ピノッキオの冒険」第3回「子どもをめぐる労働と不条理」安部みちこ、伊集院光、和田忠彦 朗読=伊藤沙莉(2020.4.20)
- NHK BS1スペシャル『欲望の資本主義2020スピンオフ スティグリッツ大いに語る』ジョセフ・スティグリッツ、安田洋祐(2020.4.17)
- NHK大河ドラマ『いだてん〜東京オリムピック噺(ばなし)〜』中村勘九郎、阿部サダヲ、森山未來、神木隆之介、ビートたけしほか
- 第7回「おかしな二人」(2019.2.17)
- 第8回「敵は幾万」(2019.2.24)
- 第9回「さらばシベリア鉄道」(2019.3.3)
聴いた
ラジオ番組
読んだ
書籍
- 樋口陽一『リベラル・デモクラシーの現在─「ネオリベラル」と「イリベラル」のはざまで』岩波新書(2019)
ウェブで読めるもの
- hiro『チラシが全く入らなかった日』そらマメさん(2020.4.20)
- 伊藤亜紗『(伊藤亜紗の利他学事始め)不安を救ってくれた言葉』朝日新聞デジタル(2020.4.23)
- 恩蔵直人『(経済教室)新製品、新奇性・意味性両立を 企業経営の針路』日本経済新聞電子版(2020.4.3)
- 榊原一生『(聖火は照らす)パラの「クラス分け」、矛盾と苦悩 障害が軽くなるほど、メダルは遠のく』朝日新聞デジタル(2020.4.20)
- 高橋純子『(多事奏論)首相の地金 「ある」と言えども取らぬ責任』朝日新聞デジタル(2020.4.22)
- 滝澤美帆『(経済教室)イノベーション生み出すには(下)人材投資・中小企業支援 カギ』日本経済新聞電子版(2020.4.22)
- 玉田俊平太『(経済教室)イノベーション生み出すには(中)独立組織に経営資源 十分に』日本経済新聞電子版(2020.4.21)
- 柳井政和『新聞各社の新型コロナウイルスのグラフを比較してみた』ハーバー・ビジネス・オンライン(2020.4.26)