性別聞く不適切取材で謝罪──読売テレビ「ten.」で報道局長ら(謝罪コメント全文)

2019年5月13日
読売テレビホームページに掲載された謝罪文(5月13日)

 読売テレビは、5月10日の報道番組「かんさい情報ネットten.」のコーナー企画「迷ってナンボ!」で、一般人に対し性別をしつこく確認するなど、人権への配慮を欠いた内容を放送した問題で、13日の番組冒頭で謝罪しました。同局の乾佐登司報道局長が「人権上、著しく不適切な取材」だったと認めました。読売テレビはホームページにも謝罪文を掲載し、コーナーの放送を当面の間、休止すると発表しました。

 問題のコーナーは毎週金曜日に放送されており、お笑いコンビの藤崎マーケットが街で人々の疑問を調べる企画です。大阪・十三の飲食店店員の、性別不明の常連客がいるという疑問をもとに、常連客に性別を尋ね、胸を触ったり、健康保険証の提示を求めたりしました。

 この企画を放送した直後、スタジオでコメンテーターの作家、若一光司さんが「許しがたい人権感覚の欠如」と非難。同局アナウンサーの中谷しのぶキャスターは対応に窮し、ツイッターでは放送を批判する投稿が相次ぎました。

 週明け13日の放送では、冒頭約3分間、中谷キャスター、10日に出演していた同局の小島康裕解説デスクに加え、乾佐登司報道局長も出演し、1人ずつ謝罪しました。乾報道局長は取材自体が人権上不適切だったと認めました。また中谷キャスター、小島デスクは、内容が不適切であることを放送内で指摘できなかったことについても反省するとしました。

 読売テレビは13日、ホームページ(リンク)でも謝罪文を掲載。放送に至った敬意を検証し、再発防止策に取り組むとした上で、「迷ってナンボ!」の放送は当面の間休止すると発表しました。

5月13日の放送冒頭での謝罪コメント全文

 《オープニング映像が明け、スタジオに立つ(画面左から)乾、小島、中谷、高岡達之・読売テレビ解説委員(月曜の解説担当)の4人が映り、全員一礼》

 中谷 こんにちは。「かんさい情報ネットten.」です。きょうはまず、番組からおわびをさせていただきます。

 《中谷のワンショットに切り替わり、名前テロップ「中谷しのぶ」表示》

 中谷 先週金曜日、「ten.」2部「迷ってナンボ!」のコーナーで、街で出会った一般の方のプライバシー、そして、人権への配慮を著しく欠いた不適切な放送をしてしまいました。その結果、取材に応じてくださった皆様にご迷惑をお掛けしただけではなく、見てくださっている皆様にも不快な思いを抱かせてしまいました。いつもこの番組を楽しみにしていただいている皆様のご期待、信頼を裏切る内容となってしまいました。私自身、この番組のキャスターとして、あの場であいまいな態度を取ってしまったことが、さらに多くの方を傷付け、不快な思いを抱かせてしまったこと、深く反省しています。二度とこのようなことがないように、これから再発防止に取り組んでまいります。そして皆様に信頼していただける報道番組になれるように、一から精進してまいります。本当に申し訳ありませんでした。

 《中谷が一礼。小島のワンショットに切り替わり、名前テロップ「ten.解説デスク/小島 康裕」表示》

 小島 私は金曜日、読売テレビの解説デスクとして番組に出演していました。しかしその場で、VTRの内容が不適切であることについて、何ら指摘することができませんでした。当該のVTRは人権に対する配慮を著しく欠いていました。それは私たちが普段から問題意識を持って取り組んでいる差別や偏見を、助長するものだったと思っています。取材を受けてくださった皆様、視聴者の皆様、本当に申し訳ございませんでした。今回のことを反省し、今後二度とこのようなことがないようにいたします。

 《小島が一礼。乾のワンショットに切り替わり、名前テロップ「読売テレビ報道局長/乾 佐登司」表示》

  番組の責任者としてお話しさせていただきます。この度は人権上、著しく不適切な取材を行い、その内容を放送したことにつきまして、改めて取材させていただいた方々、視聴者の皆様におわび申し上げます。注意と配慮を欠き、このような結果となってしまったことを深く反省し、再発防止と信頼回復に今後努めてまいります。本当に申し訳ございませんでした。

 《最後に4人で一礼》

読売テレビホームページに掲載された謝罪文

当社番組についてのおわび

5月10日(金)に放送した『かんさい情報ネット ten.』(月~金 夕方4:47)内のコーナー企画「迷ってナンボ!」の中で、一般の方に対し性別を確認するなど、人権上、著しく不適切な取材を行い、その内容を放送致しました。
視聴者及び関係者の皆様に深くお詫びします。
人権に関して強く意識すべき放送局である当社がこのような事態を招いたことについて、当社としては、重く受け止めています。当該放送に至った経緯を詳細かつ徹底的に検証するとともに、今後はこのようなことが無いように再発防止に向けた具体的な対策に早急に取り組み、視聴者の皆様からの信頼回復に向けて努めてまいります。

なお「迷ってナンボ!」につきましては、当面の間、放送を休止いたします。 

2019年5月13日 讀賣テレビ放送株式会社