安倍晋三首相は7日夕、新型コロナウイルスの感染拡大を受けて、法律に基づく緊急事態宣言をしました。各一般紙は連日にわたり新型コロナ関連のニュースに紙幅を割いていますが、宣言を受けて8日付朝刊は、1面をほぼ全て関連記事で埋めるなど一段と扱いを大きくしました。五大紙の大阪本社発行最終版と大阪日日新聞の8日付朝刊から1面を比較します。
バラエティーに富む毎日、大日は見出しにバランス
1面本記(本文記事)の主見出しは6紙すべてがヨコ見出しで、日本経済新聞以外はいずれも黒地白抜きでした。内容も「7都府県、緊急事態宣言」(朝日新聞)や「緊急事態宣言、発令」(読売新聞)などほぼ内容は一致しています。しかし数多あるコロナ関連ニュースの中でどの記事を1面に載せ、どんな見出しを取ったかは各紙によって違いが出ました。
記事選定の面で最もバラエティーに富んだのは毎日新聞。本記は首相が記者会見で人と人との接触機会を7割削減する目標を掲げたこと、法律に基づく住民への外出自粛要請など宣言で可能になることなどを記述。関連記事として「財政支出、39・5兆円」、カタ(左上)位置には宣言を受けた大阪府の対応をまとめた記事、左下には7日の府内感染者が1日当たりとしては過去最多の53人だったという12行の短い原稿を載せました。
宣言本記、経済対策、大阪府対応、感染状況と、政治面、経済面、社会面の各トップになり得るような内容からそれぞれエッセンスを引き出し、手堅く構成した感じがあります。
大阪日日は主見出し「7都府県に緊急事態宣言」に続く本記2本目の見出しを「コロナ、休業要請は先送り」としました。宣言と要請見送りをともに大きな見出しでセットにしたのは、ニュースバリューのバランスを取った好判断と思います。
トップは共同通信配信の記事ですが、準トップは「吉村知事『とにかく家に』/救われる命ある/外出自粛強く要請」と吉村洋文大阪府知事の記者会見の内容をまとめた自社記事で、知事会見の写真を3段分にわたる大サイズで掲載しました。左下には宣言対象の都府県で休業要請の対応が分かれたとの記事で、トップのリード文と内容が重複しているのが気になります。
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