「観望会」という言葉は、朝日新聞にどの程度登場するか

2019年7月3日

 ひょんなことから何人か天文関連のツイッターアカウントをフォローしていますが、彼らのツイートやリツイートで「観望会」という言葉が広く知られていないことについて言及されているのを見ました。

 私も「観望会」という言葉を初めて知ったときには、その言葉の意図が分かりにくいなと感じました。ウィキペディアによれば「天体観望」は「学問的な観点や特定の目的を持たず、ただ『星を見て楽しむこと』を目的として星空を見る点で、天体観測とは異なる」とあり、独特のニュアンスを持つ言葉のようです。

 では「観望会」という言葉はメディアでどの程度用いられているのか、新聞記事データベースで検索をかけてみることにしました。朝日新聞「聞蔵Ⅱ」で調べたところ(横断検索機能)、「観望会」が見出しに最も早く登場する記事は1972年1月31日の東京都版(地域面)「『予報はずれよかったね』人気呼んだ月食観望会」でした。本文でも特にことわりなく「月食観望会」と書かれています。

 見出しと本文を検索対象にできる1985年以降の朝日新聞記事では1939件がヒット。「観望会」単独使用もあれば、「星空観望会」「天体観望会」「市民観望会」のように複合語としての使用もありました。ただ全体として、地域面のイベント情報記事が多くの割合を占めている印象です。地域面を除外して検索をかけると、175件がヒットしました。

 天文愛好家のなかでは定着した語であり、天文の話題であるということが分かっている前提では、字面では「観望会」でイメージされるものが実態とかけ離れることは考えにくく、新聞でも断りなく使われているのだと思います。

 ただ、2013年のアイソン彗星崩壊の際には、三重で「観望会」が、岐阜で「観察会」がそれぞれ中止になったことを紹介する記事の見出しで「観測会」が使われました(2013.11.10名古屋朝刊「彗星ブームも粉々 「アイソン」崩壊か 観測会・中継中止に」)。2014年の、京都大学花山天文台に寄付した市民を対象に開かれた天文観望会を伝える記事では見出しにも「観望会」が使われており、編集者によっても判断が分かれるところなのかなと感じます。