新聞のセンター試験特集…載った科目、省かれた科目

2020年1月21日

 今年で最後の実施となる大学入試センター試験は18、19両日に本試験が行われました。一般紙は試験翌日に問題の一部と解答を掲載します。ただどれだけの紙面を費やせるかは新聞社によって異なることから、解答は全科目掲載されても、問題は一部科目しか載らないのが普通です。

 センター試験は、1日目に地理歴史、公民、国語、外国語が、2日目に数学、理科が行われます。各教科の科目は以下のとおりです。

  • 地理歴史……「世界史A」「世界史B」「日本史A」「日本史B」「地理A」「地理B」
  • 公民……「現代社会」「倫理」「政治・経済」「倫理、政治・経済」
  • 国語……「国語」
  • 数学
    • 数学①……「数学I」「数学I・A」
    • 数学②……「数学II」「数学II・B」「簿記・会計」「情報関係基礎」
  • 理科
    • 理科①……「物理基礎」「化学基礎」「生物基礎」「地学基礎」
    • 理科②……「物理」「化学」「生物」「地学」
  • 外国語……「英語」「ドイツ語」「フランス語」「中国語」「韓国語」

 6教科30科目が実施されますが、受験者数には科目によって大きな差が生じます。昨年の実績では本試験受験者は54万人でしたが、「世界史A」「日本史A」「地理A」「数学I」「数学II」「簿記・会計」「情報関係基礎」「地学」「ドイツ語」「フランス語」「中国語」「韓国語」は1万人にも達していません。

 新聞紙面では、いつも全面広告や企画特集などに費やすページを使ったり、ページ数を増やしたりするなどしてセンター試験の問題と解答が掲載されます。それでも30科目すべてを掲載するスペースには全く足りませんので、一部科目で問題の掲載が省略されます。

 朝日、毎日、読売、日経、産経(以上大阪本社版)、神戸の6紙の今年の掲載状況を調べました。

 6紙すべてで掲載がなかったのは、先程挙げた受験者数の少ない12科目に「倫理」「政治・経済」「倫理、政治・経済」「地学基礎」を加えた15科目でした。

 逆に6紙すべてで掲載されたのは「国語」「数学I・A」「数学II・B」「英語」と「物理」でした。

 理科では唯一の全紙掲載だった「物理」ですが、実は理科②の4科目の中で受験者数が最も多いわけではなく、20万人の「化学」に次いで2位(15万人)。全紙不掲載の「地学基礎」も理科①では4科目中3位(4万9千人。最下位は「物理基礎」で2万人)で最下位ではありません。

 理科①からは「生物基礎」と「化学基礎」を読売、日経、神戸が掲載。理科②は「生物」が産経以外の5紙が掲載。「化学」は産経以外の5紙が掲載し、産経は「第1問」のみ載せるというある意味大胆な編集をしました。

 地理歴史は歴史と地理で格差が見えました。「世界史B」「日本史B」は産経以外の5紙が掲載したものの、「地理B」は朝日、読売、日経の3紙にとどまりました。受験者数は多い方から「日本史B」「地理B」「世界史B」の順なので、やはり受験者数に沿った判断ではないようです。

 公民は「現代社会」のみ掲載紙があり、朝日、日経、神戸の3紙が載せました。公民4科目の中では最も受験者の多い科目です。

 新聞別に見ると、読売、日経、神戸が13科目、朝日が11科目、毎日が9科目、産経が5科目(+「化学」の一部)でした。普段からページ数の多い社ほど多数の科目を掲載する傾向があると言えそうです。産経は「歴史戦」を主張しておきながら地理歴史と公民の科目は全く掲載しておらず、これでは読者も不満を抱くのではないか?と思ってしまいます(笑)。