今週のフロント
山本龍彦著『(経済教室)プラットフォーマーと消費者(下)「デジタル封建制」統制を』日本経済新聞電子版(2020.1.29)
Zホールディングス(ヤフー親会社)とLINEの統合が発表され、世界的なメガプラットフォーム競争に注目が集まる中、プラットフォーマー規制への関心も高まっています。著者はプラットフォームの影響力の大きさゆえに、市場経済への影響だけでなく、社会的公正や民主主義などの非市場的価値をも考慮した法整備の必要性を強調します。
このコラムで面白いのはプラットフォームを中世封建制の「荘園」にたとえていることです。信用スコアリング事業などのように、個人に対して権力主体として振る舞い得ることから「国家」的側面を持つ一方で、国家を超えて存在し、国家による権力行使からの防波堤として機能しうる側面も考えると「中世封建制の時代に君主から自立しながら特定の『場』を支配し、統治していた荘園に近い」と言います。
プラットフォーマーは検索システムなどのように生活インフラを押さえていることから、ユーザーにとってはデータ利用などの「抱き合わせ」を迫られると同意せざるを得ず、自己決定の幅を狭める可能性があります。いかに特定のプラットフォーマーに囲い込まれず、ユーザーがプラットフォーマー間を円滑に行き来できる仕組みを構築するかが問われます。この種の問題の解決こそ、国家による法整備の出番ではないか。いわばプラットフォーマーに対する「立憲主義」の提唱です。
2019年11月、ヤフーを展開するZホールディングス(ZHD)とLINEの経営統合が発表され、米のGAFAなどに次ぐ世界の第三極になるとの力強い宣言がなされた。…
www.nikkei.com
見た
テレビ番組
- NHK『映像研には手を出すな!』第4話「そのマチェットを強く握れ!」伊藤沙莉、田村睦心、松岡美里ほか 原作=大童澄瞳 監督=湯浅政明(2020.1.27)
- 北海道テレビ『水曜どうでしょう』最新シリーズ第1夜、第2夜(2019.12.26)
聴いた
ラジオ番組
- TBSラジオ『安住紳一郎の日曜天国』「一緒にやろう2020」安住紳一郎、中澤有美子(2020.1.26)
- TBSラジオ『荻上チキ Session-22』荻上チキ、南部広美
- 「阪神・淡路大震災からきょうで25年~これからつないでいくもの」室崎益輝、藤本真一、高森順子、崎山敏也(2020.1.17)
- 「東京オリンピック開幕まであと半年。近現代史研究者・辻田真佐憲さんと考えるオリンピックイヤーの空気」辻田真佐憲(2020.1.27)
- 「経済の憲法『独占禁止法』。その成り立ちと役割とは」矢吹公敏(2020.1.28)
読んだ
書籍
- 後藤健太『アジア経済とは何か─躍進のダイナミズムと日本の活路』中公新書(2019)→レビュー記事
- 小山慶太『高校世界史でわかる 科学史の核心』NHK出版新書(2020)
- 多湖淳『戦争とはなにか─国際政治学の挑戦』中公新書(2020)→レビュー記事
本記事はnoteへ移行しました。 https://note.com/charlieinthefog/n/nbf51ddf6b630
charlieinthefog.com
ウェブで読めるもの
- 上間陽子『空を駆ける』webちくま「海をあげる」(2020.1.24)
- 遠藤乾、山本圭、ジル・ラッター 聞き手=高久潤、稲垣直人、国末憲人『(耕論)勝者なき離脱』朝日新聞デジタル(2020.1.31)
- 坂本龍一 聞き手=河村能宏『「音楽の力」は一番嫌いな言葉 坂本龍一が抱くトラウマ』朝日新聞デジタル(2020.1.30)
- 笹倉香奈、津崎哲郎、藤原一枝 聞き手=玉木達也、三野雅弘『論点: 「SBS=虐待」なのか』毎日新聞電子版(2020.1.29)
- 重田園江 聞き手・構成=白石圭『「ボキャブラリー」の変化が、人間の思考を変化させている――思想を歴史的に研究する意味とは 現代思想・政治思想史 重田園江氏インタビュー』シノドス(2017.3.8)
- 津田大介『(論壇時評)芸術の本分 不確実さに耐え変革の力に』朝日新聞デジタル(2020.1.30)
- 山形浩生、荻上チキ 構成=宮崎直子『山形浩生は何を語ってきたか』シノドス(2012.2.23)
- 吉田徹『2013年、政治学はどう動いたか』シノドス(2013.12.24)
- 與那覇潤『(與那覇潤の歴史なき時代)「流れで決まった」楽園』朝日新聞デジタル(2020.1.30)
- 鷲田清一『〈「広場」という考え方〉 持たざる者に抵抗の場を』神戸新聞NEXT「汀にて」(2020.1.31)