顔の映像・写真は載せるが匿名で報道した例

2019年11月8日

 兵庫県宍粟市の雇用創生協議会が国の委託金を不正受給した疑惑をめぐり、協議会の副会長ら常勤職員2人が7日、記者会見を開いて架空勤務を認めたと各社が報じました。この中ではNHKや神戸新聞などが、副会長について匿名で報じつつ、会見の映像や写真では副会長の顔も写った状態で報じました。複数社が顔を報じていますので、副会長本人が許可したのではないかとみられます。

https://www.kobe-np.co.jp/news/sougou/201911/0012858679.shtml

 一方産経新聞は地域面のベタ記事扱いのため顔は載せなかったものの、副会長の実名を報じました。

 元TBS記者からのレイプ被害を訴えているジャーナリストの伊藤詩織さんが当初記者会見を開いた際、顔の撮影・報道を許可した一方で名字のみ非公開とした例があるなど、「匿名すなわち顔も秘匿」が全てに成立するわけではありません。ただ記者会見を開く側が匿名を希望する時には、顔も報じないことを望むのが普通だと思いますので、珍しい例と言えます。

 NHKの報道は7日夕方の大阪、神戸各放送局のローカルニュースで放送され、会見映像は会計責任者を務める60代の男性副会長については顔付きで、40代の男性職員は胸から下のみを写したものでした。また8日付の神戸新聞朝刊はこの記事では、会見する男性の顔も含めた写真が掲載しています。一方氏名は、NHKも神戸新聞も2人とも匿名報道になっています。

 神戸新聞はニュースサイトで会見の映像も公開しています。記者会見は副会長の他にもう1人常勤職員も出席したということですが、写真や映像では副会長1人のみが会見席に座り受け答えしている様子が写っています。

 他の報道機関の掲載状況をまとめると以下のようになります。新聞は神戸市に配達された8日付朝刊紙面を図書館で確認し、放送は8日午後2時20分時点で掲載されている各社ニュースサイトの記事を調べました。「会見の報道」は掲載面と縦見出し段数です。

会見の報道副会長の実名副会長の顔
神戸新聞○(1面4段ほか)匿名「副会長・会計」あり
朝日新聞×────
毎日新聞×────
読売新聞○(2社面3段)匿名「幹部」なし
日本経済新聞×────
産経新聞○(神戸版1段)実名なし
NHK○(関西、兵庫)匿名「副会長」あり
毎日放送×────
朝日放送匿名「副会長」あり
関西テレビ匿名「副会長」あり
読売テレビ匿名「副会長」あり
サンテレビ×────