2020年3月14~16日に実施した新聞調査の報告連載。前回は、同じ日付の同じ新聞でも複数の版を製作していることについて、毎日新聞東京本社版の紙面を例にご紹介しました。今回は、収集旅行で入手した14日付朝刊紙面を比較し、どの新聞のどの版がどれくら前夜のニュースを反映しているのかを見ていきます。
「2020年3月新聞調査」記事一覧
- 版違いとは何か~毎日の紙面差し替え 2020年3月22日公開
- 版ごとの情報更新状況 2020年3月24日公開
- 本支社による紙面の違い 2020年3月27日公開
- 日経のカラー印刷事情 2020年4月8日公開
- 地方紙の地域別差し替え 2020年5月31日公開
- 全収集紙の版建て一覧 2020年5月31日公開
「2020春・18きっぷで新聞収集旅行」もご覧ください
入手した紙面
今回の新聞収集旅行では、初日の14日、大阪を出発し東海道線と中央線を経由して関東へ向かいました。この過程で入手した14日付朝刊は以下のとおりです(カッコ内は入手地、一部は静岡市の友人から寄贈を受けました。下線は統合版)。
- 朝日新聞
- 大阪本社 13版、14版、14版△
- 名古屋本社 13版、14版△
- 東京本社 13版S、13版
- 毎日新聞
- 大阪本社 12版、14版◇、14版☆
- 中部本社 13版、14☆版
- 東京本社 ▲統12版、13版、14版、14☆版
- 読売新聞
- 大阪本社 13版、13S、14版
- 中部支社 12版、13版、14版
- 東京本社 12版、13S
- 日本経済新聞(=の後は第1社会面の版数)
- 大阪本社 12版=☆12版、13版=★13版、14版=★14版
- 名古屋支社 12版=☆中部12版、13版=★中部13版、14版=★中部14版
- 東京本社 13版=☆12版、13版=12版関、14版=★12版
- 産経新聞
- 大阪本社 13版、14版
- 東京本社 12版、13版
- 中日新聞・東京新聞
- 中日新聞 滋賀10版、長野10版、11版、12版
- 中日新聞東海本社 11版
- 東京新聞 11版、11版S
- 地方紙
- 神戸新聞 14版◇
- 大阪日日新聞
- 京都新聞 滋賀15版、滋賀16版、17版
- 伊勢新聞
- 中部経済新聞
- 岐阜新聞 9版、11版、13版
- 静岡新聞 C
- 信濃毎日新聞 6版、9版★
- 市民タイムス 塩尻版
- 長野日報 統合版
- 山梨日日新聞 2版
- 埼玉新聞
版数記号の解説
朝日 「14版△」は元々最終版の追い掛け版を意味していたが、2019年4月の版建て改革で事実上の最終版を表すようになった。「S」は統合版。
毎日 「◇」「○」はそれぞれ取り直し、追っ掛けと推測。「14版☆」「14☆版」は最終版の追っ掛け。
読売 「S」はセット版。
日経 「★」はセット版、「☆」は統合版。日経は最近、1面や社会面でも大きなニュースが入らなければ若い版数でその日の紙面製作を打ち切ることが多くなっていることに注意。
東京 「S」はセット版。
判断基準のニュースをおさらい
第1回の毎日東京紙面の比較で基準としたニュースをここでおさらいしておきます。いずれも新型コロナウイルス関連でした。
- 世界の死者5000人超(共同午後8時半頃、時事午後8時50分)=次ページの表では「5」
- ギリシャ聖火リレー中止(共同午後9時半頃速報、午後10時半記事)=同「聖」
- ニューヨーク株式市場、取引開始直後に急反発(開始は日本時間午後10時半)=同「株」
- ブラジル大統領の感染確認(共同午前0時10分ごろ)=同「ブ」 ※後に大統領自身がSNSで実際は陰性だったと説明しています。
また実況天気図の時刻が「▲統12版」は15時、「13版」以降は18時となっていました。
さて、他紙も含めて改めて降版時刻予想につながりそうな変化を探ってみました。
新型コロナウイルスの国内感染者総数の表を、都道府県別の内訳などと併せて掲載している社があり、一部は集計時刻も明記しています。
また共同通信は午前0時半すぎに、トランプ米大統領が国家非常事態宣言をする見通しだと米ブルームバーグ通信が伝えたとする速報を配信し、地方紙を中心に一部社が紙面に載せています(次ページの表では「非」)。
(次ページへ続く)